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橋田壽賀子「引退」はなぜ?〜気になるその理由〜

      2015/08/26


脚本家・橋田壽賀子がテレビ番組で「もう辞めてもいいかなって気がします」と、脚本家「引退」の本音を漏らしたざます。

※お断り 橋田壽賀子さんはその後、テレビ番組の恣意的編集だとして引退を否定されています。しかしこの記事では当初から「 」づけの引退で表記していますため、とくに改訂は行いませんでした。

写真
出典:ママが初出演したドラえもん1巻ざます

橋田壽賀子「引退」はなぜ?〜気になるその理由〜

 

脚本家・橋田壽賀子の実績

橋田壽賀子さんの実績ざます。

・1925年、ソウル生まれ。早稲田大学第二文学部(現在の文化構想学部)中退。
・就職した松竹(=映画・演劇大手)で脚本を手がけ、1959年独立。
・「おしん」「春日局」「渡る世間は鬼ばかり」など歴史的なヒット作を残す。
・映像やアドリブに頼り台本を軽視する傾向に批判的で、ときには1ページに及ぶ長セリフが有名。また古来からの美しい日本語へのこだわりが強い。
・難しい台本と厳しい指示に絶えることができる、泉ピン子、森光子(故人)、赤木春恵ら大ベテランを使うことが多く橋田ファミリーと呼ばれる。

脚本家・橋田壽賀子の現在

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熱海の橋田壽賀子邸付近の様子(出典:http://d.hatena.ne.jp/taknakayama/20070827/p1)

橋田壽賀子さんは現在90歳。夫と死別したため、現在熱海で一人暮らし。橋田を慕う泉ピン子も近くに住み悠悠自適の生活のようざます。庭では「橙」を育てておられ、縁がある「ステーキハウスはまだ」の食材として使われています。

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出典:http://steak-hamada.jp/

ステーキハウス はまだ
静岡県熱海市中央町14-7
11:30~14:00(L.O.13:30)
17:00~21:30(L.O.20:30)
水曜日休み
来宮駅から徒歩10分または熱海駅よりタクシー

橋田壽賀子が描いてきた「大家族」

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最近はあまり話題にならなかった橋田壽賀子。フジテレビの「ノンストップ!」で以下のように発言したざます。

「今のテレビドラマを見ていて、書きたいと思わなくなりましたね。私の時代じゃないなって気はしてます」

ミステリーと不倫ばかりで、何でもないホームドラマは生きられない時代になった気がします。だったらもう、辞めてもいいかなって気がします」

橋田壽賀子が脚本家として人気を得た土台には日本の「家族観」があったざます。

1983年から翌年にかけ放映され、52.6%とテレビドラマの最高視聴率記録したのがNHK朝の連続テレビ小説の「おしん」。主人公のおしんは、家の貧しさと口減らしのため7歳で家を出ることになったざますが、家族を恨むどころか家族のためにと一生懸命に働く少女。その姿が視聴者の共感を得たざます。また「渡る世間は鬼ばかり」は5人姉妹が登場する大家族の物語だったざます。

現代の家族は「おしん」や「渡る世間」が放映された頃に比べ、家族よりも個人が軸となり緩やかなつながりに変化していると言えるざます。

今後、社会は個人を単位とする方向へ向かっていくのではないだろうか。従来、家族はこれ以上割ってはならない社会の単位と捉えられてきた。だが、人間の本来あるべき姿として、個人こそが社会の最小単位になるのではないだろうか。

山根尚子(日本大学大学院総合社会情報研究科)

最近は学校のクラスのなかに片親の家庭が複数あるのが当たり前。離婚が増えてきたのは、家族よりも個人という人が増えてきた証拠ざます。家族の「渡る世間は鬼ばかり」にも見られるような「大家族」群像を得意とした橋田壽賀子が「私の時代じゃない」と語るのも無理はないざます。

時代遅れだった橋田壽賀子の「おしん」がヒットしたのはなぜ?

出典:楽天(クリックできます)

注意すべき点は、おしんがヒットした1983年頃にはすでに従来の「大家族」はなくなりつつあったということ。1963年に「核家族」(=両親と子ども2人を典型とする2世代の家族)が流行語になったざます。また、日本の経済は安定成長期。大学、短大への進学率も上がり、多くの家族を養うために子どもが働きに出るような時代ではなかったざます。それでも「おしん」が大ヒットしたのは、視聴者はドラマに「時代が失いかけたもの」を求めるところがあるからざます。

橋田壽賀子「引退」の理由 「失いかけたもの」から「失ったもの」へ

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現在家族の像は大きく変容し、とくに大家族像は多くの視聴者にとってイメージがわかないものになってしまったざます。

橋田壽賀子がいま大家族ものを描いても、話についていけない視聴者が大半。つまり時代が進みすぎ、90歳になった橋田壽賀子は「失いかけたもの」を描くことがもうできず、「失ったもの」を描くことしかできなくなった。これが引退の根本的理由ざます。

アニメに目を転じても、古い家族像を描く「サザエさん」、昭和の地方の暮らしを描く「ちびまる子ちゃん」。少し前の子どもたちの関係を描く、ママも出演している「ドラえもん」。このようにどのジャンルを見ても「時代が失いかけたもの」を描くことが人気の秘密ざます。「サザエさん」、「ドラえもん」は作者がすでに他界(ドラえもんは藤本 弘作)。原作は現代から見ればやや古すぎ失ったものを描いている漫画ざますが、アニメでは現代風に改編され何とか「失いかけたもの」の範囲に引きずり込んで人気を維持しているざます。

橋田壽賀子も現代的なアレンジで脚本を「失いかけたもの」の範囲に引きずり込んで行けばまだまだやれるはず。そうしないのは、すでに十分なほどの実績を残したこと、90歳という高齢が背景にあると思うざます。

人気ドラマやコンテンツの条件

キャプチャ

出典:SEKAI NO OWARI CHANNEL

人気ドラマや人気コンテンツが描く対象は「失いかけたもの」のほかに「もう少しで手が届きそうなもの」「未知なのにどこか既知感のある世界」。これが3本柱だとママは考えているざます。

「失いかけたもの」… たとえば、セカオワは幼いころに親しんでいていまは遠ざかってしまったファンタジーの世界を表現したものが多いざます(➡セカオワ「炎と森のカーニバル」の歌詞の意味をママなりに解釈したざます)。

「もう少しで手が届きそうなもの」… たとえば、フジテレビドラマ「恋仲」は、若い男女にまつわる甘く切ない世界を表現しているざます、

「未知なのにどこか既知感のある世界」… 「進撃の巨人」は、非現実の世界を描くように見え、死・絶望感・閉塞感といった面で現代の世界と通底しているざます。

いずれにしても全くの別世界へのニーズはほぼ皆無。微妙な距離感を醸し出すコンテンツこそ求められているざます。

(ママ)

 

橋田壽賀子が山岡久乃を追放した一件の真相

ママ、有難うございます。橋田壽賀子さんと言えばテレビドラマ界においては戦後最大級のヒットメーカーですが御年90歳。

橋田壽賀子は、脚本をおろそかにし俳優を立てアドリブを許容するタイプではありません。そのため俳優の選定には厳しく「私は嫌いな役者は作中で出張させたり、死なせたりしていました」と発言しています。

「渡る世間は鬼ばかり」のなかで65歳だった「岡倉節子」は、ニューヨーク旅行中に心筋梗塞を起こし亡くなっています。そのため、「岡倉節子」を演ずる山岡久乃と橋田壽賀子を不仲だとする声もあります。しかし実際には山岡久乃側から降板の申し出があったのが真相。橋田壽賀子さんは何度か手紙を書き説得を試みますがうまくいきません。山岡久乃さんが大病を患い、周囲に迷惑をかけずに治療したいという意向が背景にありました。

橋田壽賀子は好き嫌いが激しく強権的というイメージを持っている方もいるかもしれませんが、実際には俳優の実力に人一倍うるさかったというのが真相のようです。

(貿易会社広報部)

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